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  • 公開日:2022.01.21
  • 更新日:2022.06.28

【コラム】BPSDや中核症状とは?介護者のための症状別対応策も紹介

BPSDとは何か知っていますか?認知症の行動・心理症状のことです。暴力・暴言や妄想・徘徊などさまざまな症状があり、精神的苦痛を感じることもあります。そのような介護者のためにBPSDの基本的な知識を解説し、その対応策をご紹介します。

認知症の行動・心理症状は「BPSD」と呼ばれています。
「認知症」という単語は知っていても、その種類やBPSDについては知らない人も多いのではないでしょうか。

これらの知識が欠けていると、ご自身が介護者となった場合に精神的苦痛を感じることも少なくありません。

この記事では「BPSDとは何か」を簡単にわかりやすく説明しています。
また症状別に対応策をご紹介しておりますので、現在介護でお悩みの方は、ぜひ読んでみてください。

1. BPSDとは?

BPSDとは、認知症の行動・心理症状などの周辺症状のことを指します。
例えば暴力や暴言・徘徊などの行動症状、抑うつ・不安・妄想などの心理症状などです。

まずは非薬物的療法が中心に行われ、その人らしさを尊重するパーソン・センタード・ケアを基本に対応します。
それでもBPSDのコントロールが難しい場合は、副作用などのリスクを考慮した上、慎重に薬剤を投与するといった措置が行われるようです。

1-1. BPSDにおける行動・心理症状

BPSDにおける行動・心理症状の具体的な例を挙げると、以下のようなものがあります。

【具体的なBPSDの例】
・睡眠障害
・トイレの失敗
・食事や入浴などの介護の拒否
・徘徊
・暴言・暴力
・不安
・戸惑い
など

こういった症状でお悩みの方は、「【症状別】BPSDの対応策」をご覧ください。
症状の特徴と具体的な対応策をご紹介しているため、きっと役立てられると思います。

1-2. BPSDと中核症状の違い

BPSDとは認知症における周辺症状や行動症状のことですが、中核症状とは脳の機能が低下することで直接的に表れる症状のことを指します。
つまり、BPSDは中核症状と本人の体や心、環境などが作用して引き起こされる2次的な症状です。

例えば、記憶障害や見当識障害は脳の一部が損傷することが原因ですが、徘徊や暴言・暴力は脳の機能が低下することで引き起こされるわけではありません。
BPSDと中核症状の違いが判断しにくいのであれば、「脳の機能低下によるものか」という点を軸にして考えてみるとよいでしょう。

次の章では、認知症の種類別の原因や特徴・中核症状について解説しています。
こちらを読んでいただければ、認知症と中核症状について、より知識を深められるのではないでしょうか。

2. 認知症になる原因

2020年の時点で、日本における認知症の人の数は約600万人と推計されています。
2025年には約700万人が認知症になると予測されており、高齢者の約5人に1人が認知症ということになります。

しかし、すべての高齢者が認知症になるわけではありません。
70代の時点で意思の疎通がむずかしい人もいれば、100歳になっても全く問題なく会話ができる人もいます。

では、認知症になってしまう原因はなんでしょうか?
認知症の種類別に解説します。

2-1. アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も患者数が多い認知症です。
話したことや自身の行動をすぐに忘れたりする「記憶障害」や、時間・場所・周囲の人・状況などが正しく認識できない「見当識障害」が中核症状として引き起こされます。

中核症状への治療には、投薬による改善効果が認められているものの、効果は一時的で進行は完全に抑えられません。
現在ではできるだけ症状を軽くし、進行速度を遅らせることが治療目標とされています。

原因 脳神経の変性による脳の一部の委縮
特徴 初期は物忘れから発症し、ゆっくりと進行する
中核症状 ・記憶障害
・見当識障害

2-2. 血管性認知症

血管性認知症は脳血管障害による認知症です。
原因は脳梗塞や脳出血などのため、アルツハイマー型認知症と合併して発症する人もいます。

中核症状は目的を持った一連の行動ができない「実行機能障害」や、正しい発音をしたり言葉が使えなくなったりする「言語障害」などがあります。
「実行機能障害」とは、正しい順序通りに料理が作れなくなったり、何かをするのに段取りが悪くなったりするなどといった症状が出る障害です。

血管性認知症は脳梗塞や脳出血などが原因のため、破壊された脳の部位によって症状が異なります。
したがって、破壊されていない部位が働いており一部の認知機能が保たれていることがあります。

これらの症状をなくしたり緩和したりする治療法は現在存在しておらず、脳卒中の再発防止を目的とした治療が不可欠であるとされているようです。

原因 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害
特徴 破壊された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能が保たれている
中核症状 ・実行機能障害
・言語障害
・失行
・失認

2-3. レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は幻視や手足の震え、歩幅が小刻みになり転倒しやすくなるといった症状が出ます。
原因は、レビー小体というたんぱく質の大脳皮質や脳幹への蓄積です。

レビー小体型認知症の中核症状への治療は、塩酸ドネペジルのみ保険適用が認められているようです。
この治療もアルツハイマー型認知症と同様で、効果は一時的で進行を完全に抑えることはできません。

原因 レビー小体というたんぱく質の大脳皮質や脳幹への蓄積
特徴 幻視や小刻み歩行、手足が震えるパーキンソン症状など
中核症状 ・理解力
・判断力の低下
・実行機能障害
・失認

2-4. 前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、スムーズに言葉が出ない・言い間違い・感情の抑制ができない・社会のルールを守れないといった症状が出る認知症です。
脳の前頭葉や側頭葉のいずれかが委縮して引き起こされます。

50~60代の発症率が高く、若年性認知症の主な原因の1つとなっています。
そのため「まだ若いから認知症ではない」と思い込むのではなく、症状に気付いたらすぐに病院を受診してみましょう。

委縮する部位によって症状が異なる点も特徴です。
同じ行動を繰り返す「常同行動」も特徴的な症状の1つで、毎日同じものを食べたり、なくなるまで食べ続けたりします。
また、アルツハイマー型認知症と間違えられやすく、見逃されやすいことが多いことも特徴の1つです。

原因 異常なたんぱく質(タウ蛋白)による脳の部分的委縮
特徴 ・前頭葉か側頭葉が委縮し始め、進行すると両方が委縮する
・アルツハイマー型認知症と間違えられやすく見逃されやすいことが多い
中核症状 右側前頭の委縮:見当識障害
前頭葉の委縮:社会ルールの無視・刺激や欲求の抑制が困難
前頭・側頭の委縮:常同行動

3. 「BPSD」と「加齢による物忘れ」を見分ける3つのポイント

BPSDと加齢による物忘れを見分けるポイントは、以下の3つです。

①日常生活に支障はあるか
②本人に物忘れの自覚があるか
③物忘れの範囲はどこまでなのか

「最近物忘れが多いな」と感じたら、この3つのポイントと照らし合わせて考えてみましょう。
例えば、朝ドラに出演していた新人女優の名前が思い出せなくても日常生活に支障はありませんが、身近な親族の名前が思い出せないのであれば、認知症による物忘れのサインです。
また本人に物忘れの自覚がなければ、話の中でつじつまを合わせようとする傾向があるようです。

「物忘れの範囲がどこまでなのか」も気をつけて見てみましょう。
朝ごはんのメニューが思い出せないのは加齢による物忘れですが、朝ごはんを食べたこと自体を忘れるということがあれば、これは認知症による物忘れです。

こうした認知症のサインを見つけたら、脳神経内科・外科や物忘れ外来などを受診してみましょう。
行くべきかどうか迷った場合は、風邪などでよくお世話になるかかりつけ医への相談もおすすめです。

特に、アルツハイマー型認知症は物忘れから始まって進行します。
初期段階で認知症かどうか見分け、投薬によって進行を遅くしたり、要介護度認定を受けるための準備をしたりするなど、介護に備えて早めに対策をしておきたいものです。

4. 【症状別】BPSDの対応策

加齢による物忘れではなく、認知症による症状だとわかったのであれば、適切な対応で負担の軽減を図りましょう。
なにも対応しなければ、同居家族や介護者には身体的・精神的苦痛が伴うことも多くあります。

では、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか。
症状について解説しつつ、いくつか対応策をご紹介します。

4-1. 暴言・暴力

前頭葉がダメージを受けると感情のコントロールが難しくなり、暴言や暴力といった症状が出てくる傾向があります。
些細なことで怒りっぽくなり、自分の尊厳が傷つけられたと感じた時や不安や恐れが強まったとき、マイナスの言動を取るという行動が見られます。

暴言を浴びせられるとよい気分にはならないため、介護者も感情的になってしまうことがあります。
感情的にならず本人が落ち着くまで待つか、耐えられない場合は距離を置いても大丈夫です。

【対応策】
・本人が落ち着くまで話を聞く
・介護者が感情的にならない
・耐えられなくなったら距離を置く
・ひどい場合は主治医や専門医に相談する

4-2. うつ状態

中核症状による2次的症状の中には、抑うつ・不安といった症状もあります。
できないことが増えたり、自尊心が傷つけられたと感じたりする出来事などによって引き起こされることがあるようです。

一般的に「うつ状態」というと悲観的な気持ちになるイメージですが、BPSDにおける「抑うつ・不安」はあらゆることに無関心になる傾向が多くあります。

ストレスの原因を見つけ、自尊心を傷つけてしまうような言動を控えるか、できないことが増えても快適な生活を送れるよう、生活環境を改善するなどの対応がおすすめです。

【対応策】
・ストレスの原因を見つけて軽減する
・生活環境を居心地よくなるよう改善する
・無関心で反応が薄くても割り切る

4-3. 介護・服薬拒否

介護される側は介護者を選べません。
そのため、介護される申し訳なさや自分の好みやタイミングではないといったことから、介護への不満が大きくなることもあるようです。

また「物忘れや言葉がスムーズに出ない場合」「言いたいことを伝えられないことのもどかしさ」などから、介護を拒否してしまうこともあります。
決して珍しいことではないため、介護を嫌なことと記憶させないためにも、無理やり介護をしないことがおすすめです。
無理やり介護をしないためにも、拒否する原因や本人の好きな方法・タイミングについて理解しておきましょう。

【対応策】
・拒否する原因を知る
・本人の好きな方法やタイミングで介護をするなどやり方を変える

4-4. 妄想

妄想とは、現実にはあり得ないことを周りが訂正できないほどに思い込むことです。
BPSDにおける妄想には、お金や物を盗られたと主張する「もの盗られ妄想」いじめられたと主張する「被害妄想」配偶者が浮気していると主張する「嫉妬妄想」などがあります。

否定せずできるだけ本人の話を聞いてあげることで、気持ちが落ち着くこともあります。
しかし、妄想と共に暴言・暴力が起きて冷静に対処できないのであれば、施設への入居など環境を変えることも視野に入れてみましょう。

【対応策】
・できるだけ本人の話に耳を傾ける
・冷静に対処できない場合は介護保険サービスや施設への入居など、環境を変える

4-5. 帰宅願望

帰宅願望は、生まれ育った土地や実家など特定の土地や家に帰りたいと主張したり、実際に帰ろうとしたりする行動を指します。
しかし、実際に帰ろうとしても帰り方がわからなかったり、途中で目的を忘れてしまったりと、結果的に徘徊につながる可能性が高いBPSDです。

帰宅したい理由を聞いたり、本人が安心できる環境を整えたりしてみましょう。
帰ろうとしたときは、違うことに気が向くよう話を逸らす(そらす)のもおすすめです。

【対応策】
・なぜ帰宅したいのか話を聞く
・本人が安心できる環境を整える
・ゆっくりと優しい声で話しかける
・趣味や役割を充実させる

5. BPSD対策には「やさしい手」の介護用品がおすすめ

BPSDには上記のような症状があります。
特に「帰宅願望」は「徘徊」へとつながる可能性も高く、事故に遭ってしまうこともあるため危険です。
そんなBPSD対策には、介護用品の販売・レンタルの「やさしい手」のご利用がおすすめです。

やさしい手」では、GPS端末「GPSどこさいる」を内蔵できる専用ケアシューズ「うららかGPSウォーク」「うららかGPSウォークZ」を販売しております。
左足底部分にGPSを収納し、歩行時の衝撃から守るために厚みのある素材を採用した中敷きや、プラスチックカバーを付属。
認知症で徘徊されている方が、どこにいるかわかるシューズです。

使い方はスマートフォンやパソコンなどから専用サイトにアクセスするだけ。
地図上に現在位置が表示され、いつでもどこでも簡単に位置検索が可能です。

「どこさいるGPS」と「うららかGPSウォーク・うららかGPSウォークZ」は、公式オンラインショップやさしい手にて販売しております。
位置情報を簡単に検索できるため、認知症の方の徘徊にお困りの方はぜひご検討ください。

【GPSどこさいる】

初期費用:5,500円
GPSレンタル・位置情報システム使用料:月2,200円
充電頻度:3~4日に1回を推奨(Type C)

【うららかGPSウォーク・うららかGPSウォークZ】

価格
うららかGPSウォーク:8,580円
うららかGPSウォークZ:10,780円
サイズ:SS~3L(22.0cm~27.0cm)
重さ:約250g(Sサイズ片足)

6. まとめ

BPSDや認知症の種類について解説するとともに、症状別の対応策などをご紹介しました。
認知症の種類によってどのような中核症状が出るのか、また認知症になる原因についてもお分かりいただけたのではないでしょうか。

日本は平均寿命の長い国です。
したがって、高齢者の人数も年々増加しています。
「うちの両親はしっかりしているから大丈夫」と思っていても、事故や病気で介護が必要になったり、認知症になったりする可能性もあるため、油断はできません。

現在介護をされている方の中には「【症状別】BPSDの対応策」を読んだときに「それができれば苦労しない」と思った方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

たとえ介護職の仕事をしている方でも、身内の介護になれば感情的になってしまうことがあります。
仕事とは違い1日中目を離すことができず「時間が来れば開放される」ということがないからです。
また、「厳格な人だったのに…」と以前の姿とのギャップに悩み、なかなか受け入れられないということもあります。

BPSDの症状で悩んでいるときに、親族が訪問して「なんだ、大丈夫そうだね」と言われ、苛立ちを覚えたこともあるでしょう。
中核症状やBPSDで悩んでいるときは、耐えがたい苦痛を感じることもあるかもしれません。

そのようなときは「要介護度認定を受けて介護保険サービスを受ける」「施設に入居する」「介護用品を利用する」といった方法がおすすめです。

自分ひとりの力だけで無理な介護をするのではなく、保険やサービス・商品を利用してなるべく負担が減るようにしてみましょう。

この記事の筆者
全国380カ所で在宅介護サービスを提供しています。

介護に関するあらゆる悩みに対応いたします。
ご高齢の皆様がご自宅で暮らす上での不安やお困りごと、その一つひとつを安心にかえるために、皆様の立場になって生活のご支援をしてまいります。
「住み慣れた家で、最期まで生きる」その想いを、私たちが実現します。